• 「10営業日経過措置」(売上税額の計算特例)は、複数の支店・営業所で小売業を営む事業者が同特例を必要とする支店・営業所に対してのみ適用することもOK。
  • 「連続する10営業日」の売上(標準税率分・軽減税率分)は、適用を受ける支店・営業所ごとに選択。
  • 事業者は、売上税額の計算特例等を柔軟に適用することが可能に。

消費税の軽減税率制度導入により、平成29年4月1日から「区分記載請求書等保存方式」(現行の記載事項に「軽減税率の対象品目である旨」および「税率ごとに合計した対価の額(税込み)」を追加するもの)が導入されるが、売上を税率ごとに区分することが困難な事業者は、通常の事業を行う連続する10営業日の売上総額に占める同10営業日の軽減税率対象品目の売上の割合(軽減売上割合)により、売上税額を簡便に計算できる「売上税額の計算特例」を選択することができる(改正法附則38①、41①)。

この「売上税額の計算特例」に関し改正消費税法施行令附則14条では、事業者が複数の事業を行っている場合には、課税資産の譲渡等の税込価額を事業ごとに区分していることを条件に、その区分している事業ごとに10営業日経過措置の適用を受けること(または適用しないこと)ができることが明らかにされている。

この点、税制当局によると、複数の支店または営業所で小売業を営む事業者が10営業日経過措置の適用が必要な支店または営業所に対してのみ、10営業日経過措置を適用できることが明らかとなった。

また、10営業日経過措置を適用するためには「連続する10営業日」の売上(標準税率分・軽減税率分)を把握する必要があるが、事業者が複数の支店または営業所で10営業日経過措置の適用を受ける場合には、それぞれの支店または営業所別に「連続する10営業日」を選択することができる。

さらに、「仕入総額に占める軽減税率対象品目に関する仕入金額の割合を軽減売上割合とする特例(改正法附則38②・41②)」や「売上総額に占める軽減税率対象品目に関する売上金額の割合により軽減税率対象品目の仕入を計算する特例(同附則39①・42①)」についても、支店または営業所ごとに特例を適用することができるため、複数の事業を営む事業者は、売上税額の計算特例や仕入税額の計算特例を柔軟に適用することが可能となっている。

(情報提供:株式会社ロータス21)