• 平成27年度の査察事績、平成23年度改正で創設された「消費税の不正受還付未遂罪」や「故意の申告書不提出によるほ脱犯」が適用された告発事例も。
  • 業種・取引別の告発件数は、「建設業」、「不動産業」が上位。主な脱税手法は、架空経費の計上。
  • 平成27年度中の一審判決は133件すべてが有罪に(有罪率100%)。

国税庁は6月14日、「平成27年度 査察の概要」を公表した。

国税庁によると、平成27年度以前に着手した査察事案のうち、平成27年度中(26年4月~27年3月)に処理(最終判断)した件数は181件で、このうち115件が検察庁に告発された(告発率は63.5%)。

告発件数を税目別でみると、法人税事案(69件)が最も多く、次いで所得税事案(25件)、消費税事案(12件)と続く。同庁によると、平成23年度税制改正で創設された「消費税の不正受還付未遂罪」や「故意の申告書不提出によるほ脱犯」の適用事例があったことが明らかとなった。

具体的には、「消費税の不正受還付未遂罪」は、輸出取引を装い、国内における架空課税仕入れとこれに見合う架空の輸出免税売上を計上する方法で不正に還付を受けようとした事例など(4件)に適用された。

また、「故意の申告書不提出によるほ脱犯」は、多額の利益があるにもかかわらず、税を免れる目的で故意に申告書を提出していなかった事例(1件)に適用された。いずれも、平成26年度に続く2年連続での適用となった。

また、平成27年度の告発事案で多かった業種・取引は、「建設業」(15件)、「不動産業」(12件)、「クラブ・バー」(7件)であった。建設業や不動産業では架空経費の計上、クラブ・バーではホステス報酬に関する源泉税を徴収する一方で納付していなかった事例が目立ったようだ。

そのほか、国際取引を利用した事案では、海外で保有する株式の配当収入を除外した事例や海外法人に対して架空の経費を計上した事例など28件が告発された。

なお、平成27年度中に一審判決が言い渡された査察事件の件数は133件で、すべてについて有罪判決が下されている。

クローゼットに置かれたキャリーバッグに隠匿(約1億円)

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(情報提供:株式会社ロータス21)