• 生産性向上税制、償却限度額の計算特例から削除。
  • ただし、「平成29年3月31日までに取得・事業供用した資産」に係る特別償却不足額は繰越し可。

かつては即時償却が認められていた生産性向上設備投資促進税制だが、平成28年4月1日から平成29年3月31日までに取得等した資産の特別償却割合は50%に縮減され、平成29年4月1日以後は制度自体が廃止されることが決まっている。

こうした中、実務家の間で疑問が生じているのが、同税制に係る特別償却不足額の繰越しの可否だ。特別償却不足額を繰り越すための根拠規定である租税特別措置法52条の2「特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算の特例」では、その対象となる特別償却措置の条文番号が列挙されているが、平成28年度税制改正では、生産性向上設備投資促進税制を示す「第四十二条の十二の五第一項」が削除されている。

ただし、「平成29年3月31日までに取得・事業供用した資産」に係る特別償却不足額は、旧租税特別措置法52条の2の適用を受け、繰り越すことができることが本誌取材により確認されている。租税特別措置法42条の12の5自体が削除される平成29年4月1日以後に決算期末を迎える平成29年4月以降決算期法人であっても、資産を平成29年3月31日までに取得・事業供用すれば、特別償却不足額の繰越しが可能である。

<租税特別措置法52条の2①>新旧対照表 ※簡略化 
新   旧
法人の有する減価償却資産で第四十二条の五第一項、第四十二条の六第一項若しくは第二項、第四十二条の十第一項、第四十二条の十一第一項、第四十二条の十一の二第一項、第四十二条の十二の三第一項、第四十三条から第四十四条まで、第四十四条の三若しくは第四十四条の五から第四十八条までの規定又は減価償却資産に関する特例を定めている規定として政令で定める規定の適用を受けたもの(中略)につき当該事業年度において特別償却不足額がある場合には、当該資産に係る当該事業年度の償却限度額は、(中略)当該資産の普通償却額限度額として政令で定める金額に当該資産に係る特別償却不足額を加算した金額とする。 法人の有する減価償却資産で第四十二条の五第一項、第四十二条の六第一項若しくは第二項、第四十二条の十第一項、第四十二条の十一第一項、第四十二条の十二第一項、第四十二条の十二の三第一項、第四十二条の十二の五第一項、第四十三条から第四十四条まで若しくは第四十四条の三から第四十八条までの規定又は減価償却資産に関する特例を定めている規定として政令で定める規定の適用を受けたもの(中略)につき当該事業年度において特別償却不足額がある場合には、当該資産に係る当該事業年度の償却限度額は、(中略)当該資産の普通償却額限度額として政令で定める金額に当該資産に係る特別償却不足額を加算した金額とする。

 

(情報提供:株式会社ロータス21)