• 企業会計基準委員会は、税効果会計の適用にあたって、繰延税金資産等の額は、決算日に国会で成立の税法で算定する方向で検討。
  • 税率の変更だけでなく、欠損金の繰越控除の改正などでも影響が出てくる可能性も。
  • 税法の改正により繰延税金資産等の金額が修正されたときは、その旨及び修正額を開示する方向。

企業会計基準委員会は、現在、日本公認会計士協会の税効果会計に関する実務指針の移管作業を行っているが、論点の1つとされているのがどの時点の税法を税効果会計に適用するかについての対応だ。

企業会計基準適用指針第27号「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」(以下、税率適用指針)の公開草案に対して、「税率に限らず、税効果会計の適用に関連する一般的な考え方を示してはどうか」とのコメントが寄せられており、実務指針全体の移管作業時に改めて検討することとしていたものである。

税率適用指針では、決算日において国会で成立している税法に基づく税率を適用すると定められている(税率適用指針第5項、第6項)。また、決算日後に税率の変更を伴う法律が成立した場合、当該変更された税率により計算した繰延税金資産及び繰延税金負債の額を当該決算日における財務諸表に反映しないこととしている(税率適用指針第22項)。

企業会計基準委員会では、税率については納税額を算定する要素の1つとして税法により規定されているため、どの時点の税法を税効果会計に適用するかについて、税率と他の納税額を算定する要素は同様の取扱いとすることが適切であるとの判断を示している。

したがって、税効果会計の適用にあたって、繰延税金資産及び繰延税金負債の額は、決算日において国会で成立している税法に基づき算定する方向で検討されている。この場合、決算日後に税法が改正された場合、当該改正された税法により計算した繰延税金資産及び繰延税金負債の額については、当該決算日における財務諸表には反映しないことになる。

なお、税法の変更があった場合には、税率の変更があった場合と同様の開示を行うことになる。具体的には、①税法の改正により繰延税金資産及び繰延税金負債の金額が修正されたときは、その旨及び修正額、②決算日後に税法の改正があった場合には、その内容及びその影響額を開示することになるとしている。

(情報提供:株式会社ロータス21)