• 国税不服審判所、課税処分に係る取消訴訟の勝訴によって還付された還付加算金等が非課税所得に該当するか否かで争われた裁決で納税者の主張を棄却。
  • 還付加算金は、還付金等に対する一種の利子としての性質を有するものと指摘。
  • 還付加算金は非課税所得に該当しないと判断(雑所得に該当)。

今回の事案は、①課税処分に係る取消訴訟の勝訴によって還付された過納金及び還付加算金が損害賠償金(所法9①17)と同様、非課税に該当するか否か、②取消訴訟に係る弁護士費用は還付加算金に係る雑所得の金額の計算上、必要経費に該当するか否かが争われたもの(平成27年9月3日)。請求人が課税処分の取消訴訟に要した弁護士報酬を必要経費になるとして更正の請求をしたところ、原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ったものである。

請求人は本件取消訴訟により精神的な負担や金銭負担を余儀なくされている点を考慮すれば、本件還付加算金は損害賠償的な性質を有するため、非課税所得に該当すると主張していた。

この点、審判所は、非課税所得とされる損害賠償金等とは、納税者に損害が現実に生じ、又は生じることが確実に見込まれ、かつ、その補填のために支払われるものに限られると解するのが相当であると指摘している。

その上で本件についてみると、還付加算金は、法律上、還付金等が発生する原因を特段区別することなく一様に加算すべきものとされていることから、還付金等に対する一種の利子としての性質を有するものと解され、請求人に生じた損害の補填のために支払われた損害賠償金等の性質を有するものと解することはできないとし、非課税所得に該当しないと判断した。なお、本件還付加算金は雑所得に該当するとしている(所法35①)。

また、本件取消訴訟は違法な課税処分の取消し自体を目的とするものであって還付加算金の取得を目的とするものではないことを考慮すると、還付加算金の発生を取消訴訟の判決が確定したことによる直接的な効果と解することはできないと指摘。還付加算金の発生と弁護士報酬との間に直接的な対応関係を認めることはできず、当該弁護士報酬は、同項に規定する「総収入金額を得るため直接に要した費用」(所法37①)には当たらないと判断し、必要経費に算入することはできないとし、請求人である納税者の主張を斥けた。

(情報提供:株式会社ロータス21)