• 厚労省、持分なし医療法人へ移行する際の出資持分放棄による経済的利益について、移行計画の認定を受けた法人に対する贈与税課税(相法66④)を非課税等とすることを平成29年度税制改正で要望。
  • 持分なし医療法人への移行計画の認定期間(平成29年9月末まで)の延長を前提に、税制特例措置の適用期間の延長も。

平成26年度税制改正では、「持分なし医療法人」への移行を支援するために「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置」が導入された。

この特例措置は、「持分なし医療法人」への移行計画について厚生労働大臣の認定を受けた「持分あり医療法人」(認定医療法人)が「出資持分のない医療法人」へ移行する期間に発生する相続税・贈与税を猶予し、移行後にその猶予税額を免除するというもの。

たとえば、認定医療法人の持分を有する個人がその持分の全部または一部を放棄した場合において、その認定医療法人の持分を有する他の個人に対し贈与税が課せられる場合には、担保の提供を条件として、その贈与税が認定移行計画に記載された移行期限まで納税猶予される(措置法70の7の5①)。この猶予された贈与税額は、移行期限までにすべての出資者がその持分を放棄した場合には免除される(同条⑪)。

ところで、「持分あり医療法人」が「持分なし医療法人」に移行する場合には、出資者の全員が所有する持分を放棄することになるが、この出資者の持分の放棄による経済的利益の法人への帰属について、その医療法人に対して贈与税が課税されるリスクが存在する(相法66④)。

この点に関し厚生労働省は、持分なし医療法人への移行計画の認定を受けた法人については、円滑な移行促進のために法人への贈与税を非課税等とすることを平成29年度税制改正で要望する。また、持分なし医療法人への移行計画の認定期間(平成26年10月1日から平成29年9月30日までの3年間)の延長を前提として、「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置」の適用期間の延長も要望する。

「持分なし医療法人」への移行を検討するに当たり、出資持分の放棄による医療法人への贈与税課税(相法66④)がネックになるという声が実務家から数多く挙がっていただけに、今回の税制改正要望が実現すれば、「認定医療法人」制度を利用して「持分なし医療法人」へ移行する医療法人が増加しそうだ。

(情報提供:株式会社ロータス21)