• ASBJ、法人税等会計基準案に対するコメントを踏まえた検討を開始。
  • 公開草案からの内容面での大きな変更はない模様。3月中にも正式決定し、公表する方針。

企業会計基準委員会(ASBJ)は1月10日まで意見募集を行っていた企業会計基準公開草案第59号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」(法人税等会計基準案)に寄せられたコメントの検討を開始した。寄せられたコメントの多くは公開草案のおおよその内容について同意を示すものが多かった。一部修正は行われるものの、公開草案からの内容面の大きな変更はなく最終決定になりそうだ。

例えば、外国法人税(公開草案第13項)の開示に関しては、一部修正が行われる方向。外国法人税のうち法人税法等に基づき税額控除の適用を受けない税額は、その内容に応じて適切な科目で表示することとされ、外国子会社(法人税法23条の2)からの受取配当金等に課される外国源泉所得税のうち法人税法等に基づき税額控除の適用を受けない税額は、法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)に含めて表示することとされる。

また、実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」において、連結納税制度を適用する場合の法人税及び地方法人税に係る会計処理及び開示の具体的な取扱いが定められている場合は、今回の法人税等会計基準案の適用後も優先して適用される旨が明確化される。

そのほか、法人税等会計基準案は日本公認会計士協会の監査・保証実務委員会実務指針第63号「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」を基本的に踏襲するものとなっている。しかし、事業所税及び特別土地保有税に関しては、一般的に金額的な重要性が高くない等との理由で適用範囲に含まれていないため、実務における会計処理の明確化を図るためにも同実務指針から取扱いを引き継ぐべきとの意見が寄せられている。

この点、企業会計基準委員会の事務局では、事業所税及び特別土地保有税は、一般的に金額的な重要性が高いとは言えないほか、営業費用等で会計処理を行っている実務が浸透しており、会計上の取扱いを明らかにする必要性が高くはないと判断しており、公開草案を変更しない方向となっている。

なお、同委員会では3月中にも法人税等会計基準案を正式決定する方針。適用は公表日以後とされているため、実質的には平成29年3月期決算から適用される。

(情報提供:株式会社ロータス21)