• 国税庁、平成29年度税制改正大綱を踏まえた改正評価通達を公表(パブコメ案からの修正なし)。
  • 経過措置は手当てせず。改正評価通達は一律に平成29月1日1日以後の相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用。

国税庁は5月15日、平成29年度税制改正大綱を踏まえた「「財産評価基本通達」の一部改正について」を公表した(パブコメ案からの修正はなし)。

改正項目は、類似業種比準方式(取引相場のない株式の評価)の比準要素(配当:利益:簿価純資産)について連結会計上の数字に見直すほか、比準要素のウエイトを「1:1:1」(現行は「1:3:1」)に見直すこと、類似業種株価について課税時期以前2年間の平均を追加することなどを内容とするもの(類似業種の株価等は6月公表の見込み)。評価会社の規模区分の金額等の基準の見直し(大会社及び中会社の適用範囲の拡大)なども実施される。

改正通達は、平成29年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価により適用される。パブコメでは、改正により評価額が上昇する場合があることを踏まえ、経過措置を設けて従前の評価方法を選択適用できるようにすべきであるという意見が挙がっていたものの(下表参照)、一律に平成29年1月1日以後の相続等により取得した財産に適用されることとされた(経過措置は手当てせず)。なお、国税庁は、改正評価通達の公表にあわせて平成29年1月1日以後に相続等により取得した財産の申告の際に利用する「取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等」及び通達内容を解説する「通達等のあらましについて(情報)」も公表している。

【表】改正評価通達の適用時期に関するパブコメの意見及び国税庁の回答
パブコメ案に対する意見の概要 国税庁の考え方
 本改正通達は平成29年1月1日以後の相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用することとされているが、改正によって評価額が上昇する場合があり、一部の納税者にとって不利益な改正通達となるため、経過措置を設けて、従前の評価方法についても選択適用できるようにすべきである。
 ……(略)……適用時期をパブリックコメント終了後とすべきである。
 今般の取引相場のない株式の評価の改正は、相続税法の時価主義の下、より実態に即した評価となるよう見直しを行うものですので、一律に適用時期を平成29年1月1日以後の相続等により取得した財産に適用することとしています。

 

(情報提供:株式会社ロータス21)