• 消費者向け電気通信利用役務をめぐり、登録国外事業者が発行する請求書等の記載内容に不備が散見。
  • 仕入税額控除のためには、「課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨」の記載が必要。「外税による消費税額」の記載のみでは、仕入控除不可も。
  • 不備がある場合は登録国外事業者に対し請求書再交付の請求を。

平成27年10月1日以降、国内事業者が国外事業者から提供を受ける「電気通信利用役務の提供」(電子書籍や広告の配信など)は消費税の課税対象とされている。

具体的には、国内事業者が国外事業者から提供を受ける電気通信利用役務の提供が事業者向け取引の場合には国内事業者に対しリバースチャージ方式による消費税課税、消費者向け取引の場合には国外事業者に対し申告納税方式による消費税課税が発生する。

このうち、消費者向け取引については、国外事業者が「登録国外事業者」である場合のみ、仕入税額控除の対象とすることができるが、国外事業者から交付を受ける請求書等に一定の事項が記載されていることが必要となる。具体的には、通常の課税仕入れに関する記載事項(書類作成者の氏名または名称、年月日、役務内容、対価の額、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称)に加え、「登録番号」および「課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨」が記載されていなければならない(平成27年税制改正法附則38②)。

この仕入税額控除の適用に必要な請求書等の記載事項をめぐり、実際に登録国外事業者が発行する請求書等のなかには、「外税による消費税額」の記載があるものの、「課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨」の記載がないものが散見されるようだ。

この点、たとえ「外税による消費税額」の記載があっても、法令所定の記載事項である「課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨」の記載が不十分である以上、仕入税額控除が認められない可能性が高い。もっとも、法令上、登録国外事業者に対しては、法令所定の記載事項を記載した請求書等の発行義務だけでなく、誤った請求書等を交付した場合には内容を修正した請求書等を国内事業者に対し再交付することも義務付けられているため(同附則38④⑤)、登録国外事業者から受け取った請求書等に「課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨」の記載がない場合には、請求書等の再交付を依頼する必要があるだろう。

(情報提供:株式会社ロータス21)