• 平成27年分の贈与税の申告人員及び納税人員が過去最高を記録。相続税の基礎控除引下げで、相続開始前の資産移転の活発化が影響。
  • 暦年課税の申告納税額が大幅減少。要因は贈与税の最高税率引上げによる高額贈与事案の減少。
  • 国外転出時課税制度の平成27年分の所得税の申告書は43件、課税対象は93億円。

国税庁が6月1日に公表した「平成27年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告について」によると、贈与税の申告人員及び納税人員が、贈与税の基礎控除額が60万円から110万円に引上げられた平成13年以降で過去最高を記録したことがわかった。平成27年分の贈与税の申告人員は53万9,000人(前年分比+3.7%)、納税人員が38万3,000人(同+4.6%)にのぼっている。

このうち、暦年課税の申告人員は48万9,000人(同+4.1%)と増加。国税庁は、平成27年1月1日の相続税の基礎控除の引下げにより、相続開始前に資産移転を図ろうとする動きが活発化したことが一因と分析している。

一方、暦年課税の申告納税額は2,161億円(同▲16.4%)と大幅に減少しており、贈与税全体の申告納税額も2,402億円と401億円(同▲14.3%)減少した。要因としては、平成27年以降の贈与税の最高税率が50%から55%に引上げられたため、平成26年中に財産贈与が行われた反動で、平成27年の高額贈与事案が減少したことが挙げられる。

また、所得税等の確定申告書の提出人員は2,151万5,000人(同+0.6%)で、このうち納税人員は632万4,000人(同+3.3%)。所得金額は39兆3,729億円(同+6.1%)、申告納税額は2兆9,701億円(同+9.6%)とそれぞれ増加した。

ただし、平成27年分の所得税等の確定申告では、e-Taxで所得税等の確定申告書を提出した人員が、前年分の62万1,000人から51万6,000人(同▲16.9%)と大幅に減少している。理由として国税庁は、住基カードでe-Taxを利用していた納税者が、住基カードの期限切れに伴いマイナンバーカードを申請したものの、システム障害により確定申告期間中までに同カードの交付が間に合わなかったこと等の影響が考えられるとした。

また、平成27年7月から開始されている国外転出時課税制度では、平成28年4月末までに提出された平成27年分の所得税の申告書が43件(納税猶予も含む)であったことを明らかにした。所得税等の課税対象となる含み益は93億円だった。

(情報提供:株式会社ロータス21)