• 企業会計基準委員会は「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」に寄せられたコメントを踏まえた検討を開始。
  • 個別財務諸表の取扱いでは、連単で同一の会計基準を適用すべきとの意見が寄せられているものの、税法との調整を求める声が多数。

企業会計基準委員会(ASBJ)が2月4日に公表した「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」は、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」と同様の収益認識会計基準を日本に導入した場合の適用上の課題などが示されており、5月31日まで意見募集を行っていた。

寄せられたコメントでは、IFRS第15号の内容を出発点として検討を開始することに同意する意見が大半であり、反対する意見はほとんどなかった。また、IFRS任意適用企業の拡大や企業間及び国際的な比較可能性を確保する観点から、基本的にIFRS第15号の内容と同じものとすべきとの意見が寄せられている。

最大の論点となる個別財務諸表の取扱いに関しては、連単で同一の会計基準を適用すべきとの意見が比較的多く寄せられている。例えば、IFRS任意適用会社としては、連単一致の観点から、基本的にはIFRS第15号を踏襲した基準が望ましい(日本貿易会)、連単で異なる会計処理が要求されることによって過度な実務上の負担が生じるおそれもあるため、原則として両方の財務諸表に適用されるべき(PwCあらた監査法人)との意見があった。

経団連からは、業績の根幹である収益認識基準を開発する以上、単体まで適用することを念頭において検討すべきであるとの意見が寄せられた。ただし、個別財務諸表は税制と密接な関係にあると指摘。多くの申告調整を要することになれば、実務対応に困難をきたすことになるため、個別財務諸表への適用においては、税制との整合性について慎重に検討する必要があるとしている。そのほか、税法との調整を求める声が日本貿易会、百貨店協会、不動産協会などから寄せられている。

適用企業の範囲に関しては、非上場企業や中小企業への負荷を考慮すべきとの意見が寄せられている。また、適用時期については、IFRS第15号の強制適用日である2018年1月1日以後開始する事業年度に早期適用ができるようにすべきであるとの意見や、企業が前倒しで準備ができるようにするため、早い時期に強制適用時期までのスケジュールを示すべきとの意見が寄せられている。

(情報提供:株式会社ロータス21)