• 経済産業省と厚生労働省、29年度税制改正要望で研究開発税制の「総額型」の控除割合として最高「25%」を要望。29年度税制改正議論の目玉に。
  • 前段階の控除率(10%)と極端な格差を付けることで、高額の研究開発費支出の強いインセンティブとなる可能性。

平成29年度税制改正における法人関係の改正では、外国子会社合算税制(CFC税制)やスピンオフ税制などに注目が集まる一方、ひそかに企業の間で話題を呼んでいるのが研究開発税制の改正だ。

現行研究開発税制には、恒久措置としての「総額型」「オープンイノベーション型」に加え、平成28年度末までの時限措置である上乗せ措置としての「増加型」「高水準型」がある。

研究開発税制に関する平成29年度税制改正要望を出した経済産業省と厚生労働省(要望内容は同じ)はその中で、上乗せ措置のうち「増加型」の延長は要望しておらず、高水準型(試験研究費の対売上比率が10%を超えた場合に、当該超えた部分に「(試験研究費割合-10%)×0.2」を乗じた金額の税額控除(法人税額の10%相当額が上限)を認める措置)の延長のみを要望している。

そして、この増加型の廃止に伴い生じる増収分を活かす形で要望されているのが、総額型の控除割合の見直しだ。具体的には、現行制度上、総額型の控除率は「試験研究費総額×8~10%」とされているところ、平成29年度税制改正要望では、これを「6%、8%、10%、25%」の4段階(中小企業者等については、12%、25%の2段階)とすることが要望されている。

現行の控除率の下にもう一つ「6%」という控除率を設け、研究開発費の支出が少ない企業の税額控除額を抑える一方、10%の上の段階の控除率を一気に15%引き上げ「25%」とすることで、企業に研究開発費の支出を促そうという意図を持った要望と言えよう(両省は「総額型の控除率について、試験研究費の増減に準じてメリハリがつく仕組み等を導入する」と説明している)。実際、研究開発費の総額の25%の税額控除となれば、かなりの税負担軽減効果が見込めるだけに、仮にこれが実現すれば、話題を呼ぶだろう。企業の研究開発予算の策定にも大きな影響を与えることになりそうだ。

ただし、総額型による税額控除の上限は、現行制度同様「法人税額の25%」とされる。

(情報提供:株式会社ロータス21)