• 相続税の海外資産関連事案の実地調査件数は859件で3年連続の増加。集計を開始した平成13事務年度以降で過去最高を記録している。

国税庁が11月10日に公表した「平成27事務年度における相続税の調査の状況について」によると、平成25年に発生した相続を中心に調査した結果、相続税の海外資産関連事案の実地調査件数は859件(対前事務年度比+1.4%)と3年連続増加し、集計を開始した平成13事務年度以降で過去最高を記録したことが分かった。国税庁は、積極的に調査を行った結果であるとしているが、海外資産関連事案に対する実地調査の件数は毎年増加傾向となっており、海外資産関連事案に関して重点的に取り組んでいることが分かる(下表参照)。なお、海外資産関連事案とは、①相続又は遺贈で取得した財産に海外資産があるもの、②相続人、受遺者又は被相続人が日本国外に居住する者であるもの、③海外資産等に関する資料情報があるもの、④外資系金融機関との取引のあるもの等のいずれかに該当する事案のことで、平成27事務年度の1件当たりの平均調査日数は19日となっている。

相続税全体の調査では、実地調査件数は1万1,935件(同-3.8%)、申告漏れ等の非違件数は9,761件(同-3.8%)、非違割合は前事務年度と同じ81.8%だった。また、重加算税賦課件数は1,250件(同-0.6%)、申告漏れ課税価格は3,004億円(同-8.8%)、追徴税額は本税と加算税合計で583億円(同-12.9%)と減少。1件当たりの平均調査日数は14日で前事務年度から0.4日長期化した。

国税庁の重点課題である無申告事案に関しては、実地調査件数は863件(同-0.6%)、申告漏れ等の非違件数は655件(同-0.9%)で、相続税全体の件数と比べると減少幅が小さかった。また、重加算税賦課件数は91件と10年間で2番目の高さ、重加算税賦課割合は13.9%と10年間で1番高い結果となった。1件当たりの平均調査日数は12.6日と前事務年度より0.2日長期化している。

贈与税の実地調査件数は3,612件(同-8.5%)で、1件当たりの平均調査日数は前事務年度から0.1日長期化の1.6日。また、贈与税に占める無申告事案は、申告漏れ等の非違件数3,350件の84.3%、申告漏れ課税価格195億円の87.3%にのぼっている。

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(情報提供:株式会社ロータス21)