• OECD非加盟国との相互協議の繰越件数は165件と増加。事前確認が定着していないことが理由。
  • OECD非加盟国との相互協議の平均処理期間は33.3ヶ月と長期化。

国税庁が11月18日に公表した「平成27事務年度 相互協議の状況について」によると、相互協議事案全体の発生件数は195件(前事務年度187件)で、過去最高の平成25事務年度の197件に次いで高い水準となったことが分かった。発生件数のうち約8割を占めているのが事前確認の151件で、あとは移転価格課税等(移転価格課税、恒久的施設(PE)に関する事案や源泉所得税関連の事案など)の44件となっている。

一方、処理件数は155件(前事務年度141件)と増加。処理事案1件当たりの平均期間は26.0ヶ月(同22.4ヶ月)、このうち事前確認は25.7ヶ月(同22.2ヶ月)、移転価格課税等は27.2ヶ月(同23.8ヶ月)であった。いずれも国税庁が目指す「24か月以内の処理」よりも長期化する結果となった。また、繰越件数は465件で過去最高を記録し、このうち事前確認は355件、移転価格課税等は110件となった。地域別にみると、アジア・大洋州の219件が最多で、その次に米州の154件、欧州の92件が続く。国別では全体の31%が米国、18%が中国、10%が韓国、9%がインドだった。

OECD非加盟国(中国、香港、インド、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム)との相互協議では発生件数が56件、処理件数は23件と非加盟国を相手とする事案の処理の困難さが影響した恰好だ。繰越件数に関しては165件と右肩上がりで増加を続けている(下図参照)。繰越件数のうち移転価格課税等は、全体の約6割にあたる70件で高い数字となっている。理由としては、OECD非加盟国で事前確認が十分に定着していない傾向があるため、全体に占める割合が高くなった模様だ。また、OECD非加盟国との相互協議事案の1件当たりの平均処理期間は33.3ヶ月(前事務年度30.6ヶ月)、このうち事前確認は41.4ヶ月(同38.9ヶ月)、移転価格課税等は26.0ヶ月(同16.3ヶ月)と、いずれも長期化している。

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(情報提供:株式会社ロータス21)